人喰いの大鷲トリコ
スタッフ特別座談会 第五回
上田文人×田中政伸×酒井勇太朗
(聞き手)丹治まさみ
人喰いの大鷲トリコ
スタッフ特別座談会 第五回
上田文人×田中政伸×酒井勇太朗
(聞き手)丹治まさみ
タイトル
人喰いの大鷲トリコ Best Hits
発売日
2017年12月14日(好評発売中)
ジャンル
アクションアドベンチャー
対応フォーマット
PlayStation®4
PS4®Pro ENHANCED
4Kテレビ接続時は4K解像度に適した高精細な画質でプレイできます
価格
パッケージ版 3,900円+税
ダウンロード版 3,900円+税
CERO
B(12才以上対象)
発売:(株)ソニー・インタラクティブエンタテインメント
開発:(株)ソニー・インタラクティブエンタテインメント World Wide Studios JAPAN Studio
第21回文化庁メディア芸術祭エンターテインメント部門 大賞受賞記念した『人喰いの大鷲トリコ』特別座談会。第五回目となる今回が最終回となります。
引き続き様々な疑問・質問に答えつつ、『人喰いの大鷲トリコ』を総括していきたいと思います。
前回に引き続きネタバレに関する話題を含みます。
まだクリアされていないという方は、是非最後までプレイしたのち、改めて御覧ください!
(太字:丹治まさみ)
『人喰いの大鷲トリコ』のアート制作における様々なエピソード
モデリングについてのお話もいくつかお聞きしたいんですが、これに関してはモデリングアーティストの酒井さんも交えてお話できればと思います。
早速ですけど、酒井さんは『人喰いの大鷲トリコ』に、どのような立ち位置で携わったのですか?
酒井 僕はけっこう終盤からの参加だったんですが、大鷲や少年など重要な部分のモデリングを担当させてもらいました。とても大変でしたけど、同時にやりがいも感じられましたね。
―今回、キャラクターのモデリングに関してのチャレンジなどありましたか? 例えば大鷲の表現なんかはけっこう特殊だったんじゃないかと思うんですけど。
酒井 大鷲に関しては、羽毛の密度の調整が大変でした。アニメーションした際、羽毛の根元と地肌に隙間ができないよう、特に顔周りは一本一本田植えのようにポリゴンを配置しました。
田中 羽毛表現に関しては、一枚一枚動く羽で空間の風を表しているだけでなく、トリコの感情を表現するという一面もあります。逆光時の透過表現も印象的になる様にしてます。
―確かに羽の動きはとても印象的ですよね。
酒井 あとは、うーん……目周りの質感ですかね。具体的には眼球レンズと涙溜りの反射具合でしょうか。『人喰いの大鷲トリコ』の世界では、極力スペキュラ(光沢のある表現)を抑える様にしているのですが、トリコの瞳はその中でも数少ないスペキュラ素材だったんです。
どの環境でも自然にみえるように何度も調整を重ねました。
―そう言われてみれば、たしかにゲーム中ツヤツヤしている様な物はあまり見かけませんでしたね。なぜスペキュラを抑えていたんですか?
上田 スペキュラを多用してしまうと、どうしても画が安っぽくなってしまうんだよね。
CGっぽさが出てしまうというか、作りものに見えてしまうというか。
―たしかにあまりツヤツヤしていると、CGっぽいことにまだ価値があった、ひと昔前の表現みたいな印象になりますよね。
酒井 今は昔に比べて表現できる質感の幅が広がって、素材の微妙な違いを出せるようになってきましたからね。
―そういったモデリングや質感表現の為に様々な動物を観察したと思うんですけど、皆さん動物はお好きなんですか?
酒井 スタッフはみんな動物好きですよね(笑) 僕は特に鳥が好きで、ローラーカナリアという鳥を飼っていました。トリコの羽毛の生え方など、かなり参考になりましたね。
田中 「トリコ」は、様々な動物の要素を取り入れているというのもあって、動物の種類を問わず動きの観察をたくさんしていました。もともと僕は動物が大好きなので『人喰いの大鷲トリコ』で、動物の持つ動きと向き合っていくのはかなり刺激的でしたね。
―そういえば、うちの実家でも犬と猫を飼ってます。みんな何かしら動物に縁があって「トリコ」に繋がっているんですかね。ちなみにトリコ以外の制作についてはどうでした?エピソードがあれば是非聞きたいです。
酒井 僕の担当箇所で大鷲以外というと、少年関連ですね。少年の体に出る紋様の柄が思い出深いんですが、制作中にだいぶ変わったんですよね。いろいろ試行錯誤があったのですが、最終的には上田さんから頂いた画をもとに紋様を作成しました。
上田 気づいているプレイヤーもいるかもしれないけど、紋様デザインは敵キャラクターが放ってくる呪術記号をベースにデザインしてるんだよね。
―その呪術記号ってコントローラのボタン記号に似てますよね。
上田 うん、そうだね。
―呪術をかけられたときボタンを押すと消せる仕組みでしたが、モニターテストの際、ボタンを連打する手が疲れるという声もあり、発生数を調整とかしていましたよね(笑)……話がそれましたが、デザインの細かい部分はいろいろと変わりましたよね。少年の体に出る紋様もそうなんですけど、少年の髪型や年齢設定なども、紆余曲折あったという話は聞いてます。それこそ、最初は男の子ではなく女の子だったとか……?
上田 そんなことも知ってたっけ?
―画像を見せてもらったことありますよ(笑)
上田 そういう案もあったんだけどね。もし女の子にしてしまうと、トリコに掴まってアクロバティックなアクションを行うときに、長い髪やスカートなどの女の子特有の記号によってCG表現の難易度が上がってしまうんだよね。それと、プレイヤーキャラクターがセクシャルな対象として見られてしまうんじゃないか、といった懸念もあったりして……
―なるほど、確かにそれは問題ですね。
上田 なので、活発そうな男の子にした方がそういった余計なコストをへらせるんじゃないか、というのが今の形になった理由で。それと、当初、トリコの巨大さや力強さとのコントラストを際立たせるために、男の子の年齢を低く設定してたんだけど、後に運動能力的な自然さを出すために、少しだけ設定年齢を上げたんだよね。
田中 男の子は最初、とある国の王子、という設定もありましたよね。 あとは、金髪のくせ毛時代とか、しかも衣装は現代風でした。でも結局最終デザインが一番可愛かったですよ(笑)
―ちょっとこの流れで、トリコ全般のアートにまつわる話も聞きたいんですが、
トリコや背景なんかはかなりリアルですけど、少年は比較的デフォルメされてるイメージですよね。その辺の狙い、みたいなものってありますか?
上田 よく、表現として”リアル”と真逆なのが”デフォルメ”、と言う様に思われがちだけど、本来”デフォルメ”とはリアリティを高めるための手段だと思っていて、不自然な情報の排除だったり省略によってリアリティを感じさせるためのテクニックなんじゃないか、と。
トリコのような空想の生き物に比べて、人間の、特に顔の表現を自然に見せることもできなくはないけど、膨大なコストが掛かるし、費用対効果を考えると見合わない。特に今回はトリコがメインの企画でもあったので人間の表現に関してはハズす方向で実在感を担保することにしたんだよね。
『ICO』や『ワンダと巨像』のキャラクターたちも同じような理由でああいった表現になったわけだけど。
―なるほど。そのあたり、いわゆる「不気味の谷」とも関係してそうですね。
上田 そうだね。リアリティのための情報の取捨選択がアートディレクターや演出家としての腕の見せ所かなーと。
―背景もそういった思想でデザインされてるんですか?パーツ単位で作っている、っていうのは先ほど聞きましたけど。
上田 背景アートに関して言えば、『人喰いの大鷲トリコ』に限らずこれまで作ってきたゲームすべてにいえるんだけど、省略されている見えない先の部分、たとえば遠くに見える山の向こう側が想像できる背景にしたい、っていうのがあった。そこには村があって、河があって、生き物が生活してる、とか。
―設定上は決めてませんでしたっけ?
上田 いや、設定がどうとかいう話ではなくて、世界の仕組みそのものの実在感のこと。前も言った様に、ゲームの背景はポリゴンで作られたハリボテのようなものだからこそ、様々な演出も含めて実在感を感じさせないといけない訳で。情報は無かったとしても、省略された部分を感じさせることがリアリティなんじゃないかと。
田中 たとえば他のゲームで”実在感”のある作品って何かありましたっけ?
上田 昔のゲームで言うと『Half-Life2』の背景アートは凄く良かった。
世界の実在感という点では、ずば抜けていたんじゃないかな。
※Half-Life2:2004年に発売された、Valve Softwareが開発した主観視点のビデオゲーム。ゴードン・フリーマン博士を主人公とする『Half-Life』の続編。世界的に高い評価を得ている。
―そういった実在感のあるアートを作っていく為のプロセスというか、気を付けている様な事って何かありますか?どういったものにインスピレーションを受けているとか。
上田 うーん……プロセスと言っていいのかわからないけど、背景モデルに関しては「特定の文明を想起させないように」というのを徹底していた。たとえば西洋風、東洋風みたいなことだけでも想像の幅が狭まっちゃうからね。
―確かに、『人喰いの大鷲トリコ』の舞台には、どこの国とも特定できない独特な世界観がありますよね。
上田 世界観……よく、世界観に関して聞かれることがあるんだけど、正直インスピレーションよりもロジックで組み立てることが多くて。これは何度も言っている事だけど、最優先なのはゲームプレイで、その他の要素はゲームプレイの為の添え物……と言ってしまうと語弊があるかもだけど、よりゲームを際立たせるための装置なので。ゲームの為の最適な世界があって、そのうえでの実在感が重要というか。だから、表現したい世界観が最初にあるわけではなくて、どちらかというとロジックの結果として、なんだよね。
―なるほど。最初にゲームがあって、その為に世界を作っていくという話は前にもしてましたよね。とはいえ、そういった架空の世界が持つ”実在感”を落とし込んでいく、というのは、単に背景アートが優れていればいい、というわけでもないですよね。
上田 そうだね、さっきも言ったように、最初にゲームありき、だから。
―そういった所って、ゲームにとっての正しい見せ方、いわゆるレベルデザインにもかかわってくると思うんですが、どうでしょう?僕もレベルデザインミーティングに参加していて、そこでいろいろ話を聞いたので、大まかにはわかっているつもりなんですが、改めてレベルデザインではどのような取り組みがあったのか、話を聞きたいですね。
上田 まず、背景も含めた見せたい画をイメージするところから始めて、そこに自然に誘導するようにレベルを考えていく。
―ああ、そうですね。そう言っていました。
上田 たとえば、開発中に”崩壊橋”と呼ばれていたレベルなんかはわかりやすいかな?
田中 このレベルは、2015年のE3で公開されましたデモムービーでもアレンジされて登場しておりますので、ご存知の方も多いかもしれないですね。
実際、このレベルを作ったのは2010年でしたっけ?
上田 うん、そうだね。当時はPS3だったけど。
上田 このレベルの場合、最初に「離れた足場からトリコに向かって決死のジャンプをする少年」という表現したい画があって、どんなプレイヤーがどのようにプレイしたとしても必然的に且つ自然にイベントに巻き込まれる地形ってどんなだろう?ってところからレベルアイデアを考えていく。
―最初にイメージボードのようなものがあるということですかね。たとえばどんな感じで誘導してるんですか?具体的な例ががあれば聞きたいです。
上田 橋にすることによって移動に制限をかけたり、段差を設けることで一方通行にして戻れないようにしてプレイヤーの選択肢を自然に狭めていくとか。そのあたりの積み重ね、組み合わせによってプレイヤーが自然とイベントに巻き込まれるようにレベルを設計していく。
―『ICO』の、ヨルダとの橋の上での別れイベントなんかも同じ構造ですよね。
上田 うん、あのころから考え方というか発想方法は変わってないかも。
―そこからさらにインタラクションを仕込んでいくわけですよね。
上田 表現したい画をカットシーンにしてしまえば簡単だし、いくらでもダイナミックな画は作れるんだけど、それではビデオゲームである意味がないと思うので、なんとか不自然にならないように上手くゲームに落とし込んでいくという感じかな。
自分にとっての”レベルデザイン”ってまさにこういうことで、ゲーム制作の中で楽しくはあるけど、もっともしんどい部分かな。
―なるほど。 実際僕も参加しましたけど、モニターテスト*をやってみると、こちらが意図したのとは全く違うルートを辿るプレイヤーもいたりして、レベルデザインって本当に大変だなぁ、と感じていました。しかし、すべての地形や構造には意図があるってことですよね。さっきも言っていた通り、けしてアート優先という訳ではなくって。
※モニターテスト:開発中のゲームソフトをテスターに実際に遊んでもらうことで、問題点の洗い出しやバランスの確認を行う。
上田 それもあって『ICO』でそういったレベルデザインしていくことに疲れてしまって、次のプロジェクトでは細かなレベル設計の必要のないものをってことで出来たのが『ワンダと巨像』。
で、『ワンダと巨像』が終わってその苦労を忘れたころに『人喰いの大鷲トリコ』を作ったって感じで(笑)
『人喰いの大鷲トリコ』制作中の大きなチャレンジは?
―制作中、最も大きなチャレンジは何でしたか? という質問が来ています。
上田 うーん、『人喰いの大鷲トリコ』は『ICO』や『ワンダと巨像』に比べて技術的なチャレンジをできるだけ減らして、その分調整やレベルデザインに注力しよう、というコンセプトで始まったプロジェクトだったんだよね。
―強いて言うなら、チャレンジしないことがチャレンジ、と言った感じでしょうか?
上田 うん、勿論、クオリティや完成度で前2作を超える必要はあったけど。チャレンジと言えるのはやっぱり「トリコ」そのものかなぁ。
田中 だと思います。何より一匹の動物として真剣に作り込んだ点かと思います。
―なるほど。あと、これはチャレンジ、と言っていいかわかりませんが、今回は上田さん、「わかりやすくしたい」と常に言っていましたよね。以前の作品がわかりにくいとは思いませんが、『人喰いの大鷲トリコ』では今までと違う、何かチャレンジがあったんではないかと思うんですけど。
上田 そう。たしかに『ICO』や『ワンダと巨像』以上にわかりやすくしたいという気持ちはあった。『ICO』や『ワンダと巨像』のような俳句的な表現よりも、少し具体性を持った短歌や創作詩のような表現をというか。例えば『人喰いの大鷲トリコ』では、『ICO』や『ワンダと巨像』では不透明だった、主人公が生活していた場所を描写したのも違いのひとつだったり。
―俳句と創作詩ってのは、言い得て妙、かもしれませんね。
上田 うん、『ICO』や『ワンダと巨像』の、どちらかというとインディームービーみたいなノリに対して、『人喰いの大鷲トリコ』は制作中にメジャー作品みたいな扱いに変わっていったという印象もあって。特に周囲からの期待がそんな感じだった。
―そうなんですか? 僕は制作後期から参加したので、そういう扱いの変化ってのは知りませんでした。
上田 別にそういった要請があったわけではないんだけど、制作中に徐々に期待が膨らんでいくのを感じていて。
そういった”メジャー”な作品を目指すためには、やっぱり万人に対してちゃんとケアするというか、出来る限り不親切な部分やとっつきにくさ、みたいなところを排除していく必要があったんだよね。前も言った”R1つかまり”の変更なんかもその一環ではあるんだけど。
―なるほど、前の2作に比べてメジャーなわかりやすい作品にしたい、というチャレンジはよくわかるんですが、とはいえ、わかりやすさやとっつきやすさでいえば”誰もが想像するゲーム的な記号”みたいなものってあるじゃないですか。例えばそっち方向には振ろうとは思わなかったんですか?
上田 何をもって”ゲームっぽい”か、という問題はあると思うんだけど、例えばHPゲージとか、アイテムのマネジメントとか、これを足せば容易に”ゲームっぽく”なるという調味料のようなものがあるよね? でも、それを”ゲームになる”から、という理由で安易に入れてしまうのは避けたいし、抗いたい。とはいいつつも最終的は”ゲーム”にしなければいけないんで、どこに線を引くか、ではあるんだけど。
―その抗う感じこそが、オリジナリティに繋がってくるのかもと思いますね。ゲーム的なものとゲーム的でないもののバランスの絶妙さが、ゲーム体験にとても大きく貢献しているんじゃないかと。
―最後に一点、『人喰いの大鷲トリコ』とは離れてしまうのですが、どうしても聞いておきたい事あるんですが。
田中 はい、なんでしょう
―お正月に公開されていたあの画像、何だったんですか?
上田 ああ……
―画像だけ公開されていて、特に何も情報がなかったじゃないですか
上田 うーん……特に語れることがあるわけではないんだけどね。
―次回作、という訳ではないんですか?
上田 あくまで試行錯誤の中の一枚、という感じかな。
田中 Next Projectについては、今までと違った作り方にチャレンジしているんですよね。
上田 うん、これまでは、コンセプトとなる映像をまず一本作って、そこからゲームづくりがスタートしていた。どういうゲームかを伝える最も有効な手段だったから。
しかし、今はリアルタイムレンダリングの性能が上がってきたし、ゲームエンジンもこなれてきているよね。これまでは見切り発車として、コンセプトとなる映像制作を行っていたけれど、今回は最初からゲームエンジンを利用してゲームデザインをしっかりと行ってスタートしてみたのだけれど、実際に運用してみて効果的だとに感じている。
田中 そうですね、最近ゲームエンジンがとても元気で、その甲斐あってゲーム作りのハードルが下がりました。もちろんgenDESIGNでもそういった研究を進めています。
そのため、旧来の作り方だけではなく最近のゲームエンジンや最新の技術を搭載したツールを使える人材も必要となってきているんですよね。こういったスキルを持った方々に来てもらえればと期待しております。
―なるほど。genDEDIGNは現在人を募集しているのですね。それでは改めて応募したい人に分かりやすい形で、genDESIGNがどのような会社なのか説明いただけますか?
上田 僕たちは、「どんなユーザー体験を提供するのか」の研究からはじまり、それをコスト内で最大限のクオリティでアウトプットする方法も含めて研究しゲームの形に仕上げる。
酒井 少数なので、分業化が進んでいるゲーム業界において、デザイナーやプログラマ、プランナといった垣根を超えて色々な事にチャレンジ出来るのが魅力ですね。
―では、genDESIGNのようなスタジオに求められる人材とはどんな方でしょうか?
上田 とにかくスピード感があって、作力が高いひとかな。誤解を恐れずにいえば、下手でもいいので短時間でたくさんの作品を作ってる人。もちろん上手いに越したことはないけど。
―なるほど、スピード感ですか。
上田 僕たちが現在使っているのはPC等、デジタルな制作環境なので、途中保存やアンドゥは自由自在。ほぼノーリスク、ノーコスト。なので1回の精度の高さよりも、素早く多く試してみる能力の方が結果に繋がりやすい。だからこそ、躊躇せず、面倒臭がらずに兎に角作ってみる人のほうが、デジタルメインの時代においては結果を出せると思います。
―品質は必然的にそれについてくるというわけですか?
上田 というか現代においては品質は繰り返し試みることで上げるものかな。だからこそ速度こそが高品質さや完成度に直結する。
―他には何かありますでしょうか?
上田 あとはアイデア能力。考える人。考えるということは、頭の中に可能な限りより多くの選択肢を思い浮かべ、その選択肢をひとつひとつ思考実験した上で、最適だと思う選択肢に決めること。もちろん、正しい選択肢に決定するためには思考実験、つまり脳内シミュレーションの計算精度も大事ですが、まずはより多くの選択肢を考えたかどうか。考えることは時代や環境の優劣に関係なく誰にでも平等なクリエイティブだと思います。
田中 genDESIGNでは現在もスタッフも募集してますので、興味のある方は門をたたいてほしいですね。